
子供の頃に見た悪夢を忘れられない、という人は少なくない。大人が見る現実的な悪夢に比べ、子供の悪夢はファンタジックだ。それゆえに、より印象に残りやすい。
そんな子供の頃の悪夢を彷彿とさせるゲームが、『リトルナイトメア』という作品だ。シンプルな操作でプレイ時間も長くはないが、ゲームの世界にグッと引きずり込まれてしまうような、逃げられない魅力のあるゲームである。
今回は、そんな『リトルナイトメア』の世界をご紹介&解説していきたい。
『リトルナイトメア』とは
最新PV公開!謎の巨大船舶「モウ」では、多彩で不気味な住人たちに出会います。そしてPVの最後でシックスが見つめる、謎の少年の姿は一体…?(きしっくす)
— リトルナイトメア公式(日本) (@LN_JP) May 22, 2017
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『リトルナイトメア』(正式名称:LITTLE NIGHTMARES-リトルナイトメア-)は2017年に発売されたホラーアドベンチャーゲームである。ゲームとしての評価は非常に高く、インディーゲームの中でも名作に数えられる。
本作の主人公・シックスは黄色のレインコートを来た小さな女の子だ。そして彼女は、襲い来る敵に対し対抗する術を持たない。必死で走るか、その体の小ささを生かして隠れるか、である。
つまり本作は、ステルスを基本としたホラー作品なのだ。
そのため、本作にはエイムを合わせるといった、綿密な操作は必要ない。歩く・走る・しゃがむ・ジャンプという基本動作に、投げるや掴む(押す/引っ張る)というアクションを行うだけで済む。その代わり、なんらかの動作をするためのタイミングはシビアだ。
そして、本作は他のどんなホラー超大作よりも、はっきりと「ホラー」をしている作品でもある。
ライターの明かりだけで進んでいく、薄暗い世界観。敵の絶妙に歪んだ、不気味な見た目。そして何より、敵への対抗策がないということ。
これらの恐怖が、美しいグラフィックで表現されている。基本的に横スクロール型であるという移動の不便さも、より恐怖に拍車をかけている。
何にしても、世界観からグラフィック、音楽に至るまで、好きな人はとことん好きになってしまう、そんな作品である。
この記事で取り上げるのは1作目だが、2作目の「リトルナイトメア2」が発売されているほか、3も発売予定である。
気になった人は、ぜひ1作目からプレイして欲しい。
あらすじ
小さなレインコートを着た女の子・シックスは、暗い不気味な巨大船「モウ」の中で目が覚めた。シックスは何も語らず、ひたすら脱出を目指し、船の中を進み続ける。小さなライターの明かりが頼りない光源だ。
シックスは非常に小さく、非力だ。対して、モウの中あるもの/人は全てが大きく、危険に満ちている。シックスは知恵と勇気を振り絞りながら進んで行くしかない。
また、シックスは常に腹ペコでもある。時には空腹のあまり、動けなくなることすらある。そんなときには、モウの中にある「いろいろなもの」を食べるとよいだろう。
『リトルナイトメア』を2つのキーワードから考察

本作は考察しがいのあるゲームだ。ゲーム考察系のWebサイトで取り上げられることも多い。
そこで今回は、レディの正体やシックスとの関係など、よく取り上げられるものとは違うキーワードを考察していきたいと思う。
モウ
「モウ」とは、本作の舞台となる巨大な船の名前である。「胃袋」という意味があるようで、内部は基本的に暗く、地鳴りのような音が鳴り響いている。
公式サイトによると、モウは年に一度、同じ時間に、違う場所に現れるそうだ。やがて「ゲスト(後述)」と呼ばれる人々(?)が中に入っていき、二度と出てくることはない。
モウを考える上で切り離せないのは、本作のラスボスであるレディの存在だ。これもまた公式サイトによると、レディはモウを司る存在だという。
モウの飢えは彼女の飢え
「リトルナイトメア」公式Webサイトより引用(https://ln.bn-ent.net/places/)
モウの渇きは彼女の渇き
上記の引用にある「彼女」とは、レディのことに他ならない。となれば、レディはモウを「司る」というよりも一心同体であると考えることもできる。
モウの中に入ったゲストは、二度と出てくることはない。レディとモウが一心同体的存在なのであれば……。おそらくそういうことなのだろう。
ゲスト
上記でも触れたが、ゲストとはモウを訪れる乗客のことである。
ゲストはモウの中に入り、ひたすら飲み食いをしている。宿泊用の部屋も見受けられるため、何日間も泊りがけで飲食を続けるようだ。そして、モウから出てくることはない。
ゲストの見た目はおぞましい。肥え太った体で、生気のない目をして、体を引きずるように歩いている。細身だが生命力にあふれ、俊敏に動くシックスとは正反対だ。
筆者は、ゲストとはいわば、モウの食料ではないかと考えた。その証拠に、公式Webサイトにこんな言葉がある。
モウはゲストなしでは生きられない。
「リトルナイトメア」公式Webサイトより引用(https://ln.bn-ent.net/characters/)
この言葉から分かる通り、モウもまた生き物なのだ。
モウの下部に、大量の靴が捨てられている空間がある。モウにいる生き物たちを思い起こしてみると、この靴を履いていたのはゲストたちだろう。モウで働く管理人や双子のシェフ、それに、シックスよりも小さなノーム(その正体はここでは書かない)たちのものとは考えられないからだ。
靴を捨てられる。これはもう、どこにも行けないことを表している。ゲストたちはそれを知ってか知らずか、ひたすらごちそうを貪っているのである。もしかすると、彼らが食べている食材にさえ、彼らの同族が使われているかもしれないのに。
まとめ
悪夢のような「リトルナイトメア」の世界は魅力的だ。ワクワクして早く続きがしたくなる! といった風の作品ではないものの、次に次にと進んでしまう。
これを読んでいる人の中にも、本作の世界観の虜になってしまった人もいることだろう。そして、もしまだ本作で遊んでいないならば、ぜひ手にとってみて欲しい。
「悪夢」という言葉に惹かれる人ならば、きっと損はしないはずだ。


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